誓約の海
大神官リュドヴィックの子・アンリーが海神へ「奉献」されたのは、シェノレスがツァーリとの戦の準備を整えるための布石。ツァーリに抗するための力を蓄えるための「南海航路」を拓き、シェノレス・リーン・シルメナの三国同盟を成立させるためだった。
シェノレスがツァーリの軛から脱することが出来れば、南海航路のその先…未知の大陸への道が拓ける。そう信じて、アンリーは自らを供犠とした。
「篝火は消えない」シェノレスサイドの主人公の一人、アンリーの昔話。本編シェノレスサイド+番外編「海風の頌歌」の裏話。
基本はヴァン×アンリー。ないし、アンリー総受け。

供犠~sacrifice~
――――聖風王の裔、現シルメナ国王ルアセック・アリエルⅤ世。
今その身は、少し蒼みを帯びた月光だけを纏っている。玉座に在るときの…風のように涼やかな美貌と肢体は、纏うものがない時は驚くほど精悍さが際立った。
「私はいたって小心な臆病者だがな。…御身は何を以てそう思う?」
笑いをおさめて再び書簡に目を落としながら、ルアセックはそう問うた。閨にいてさえ寸暇を惜しんで政務と向き合うこの国王の行動は、アンリーにとってはまだ読み切れない部分が多い。
登場人物
アンリー | シェノレス大神官リュドヴィックの子。 大神官家特有の「血の緋色」の髪と紅瞳を持つ。 大神官家に伝わる古い記録から、シェノレスよりも更に南に人の住める大陸があることを知り、いつかそこへ辿り着くという夢のために父の命に従う。 |
ヴァン | 大神官直属の細作組織「ネレイア」の統領。大神官リュドヴィックと共謀のうえ「奉献」されたアンリーを海から救い上げ、「ネレイア」の次代統領として育てる。本名ジュスト=ブランシュ。メジェドを始め、別の名で対ツァーリのための工作を行っていた。 |
ジュスト=ブランシュ | 神官府衛視寮神官。アニエスの再従兄弟。 |
アニエス | 大神官リュドヴィックの妹。ツァーリの王に嫁し、王太子アリエルを生むが夭折。 |
ルアセック・アリエルⅤ世 | オアシスの連合国家シルメナの王。 その容姿と抜け目のなさから「銀狐」と呼ばれ周辺国家から警戒される。 |
レアン・サーティス | ツァーリ王弟、颯竜公。ただし現在国を放逐され一介の医者として流浪の身。ルアセックの叔母アスレイア・セシリアの遺児。 |
リュドヴィック | シェノレス大神官。アンリーの父、アニエスの兄。 |
クロエ | 典薬寮神官。アニエスの親友。 |
イサーク=フェイギン | ツァーリ総督。 |
シュエット | ヴァンの前の統領。神官府本殿書庫の書司トリスタンと同一人物。 |
ミラン | ネレイア統領付の伝令使。シュエットの養い子。 |
シエル | 天文寮神官の籍をもつネレイア。本名ユリス=オリヴィエ。 |