雪の降る夜に、その窓を開けてはいけない。

Akino-ya Banka’s Room Evangelion SS
「Snow Waltz」
Snow Waltz <前編>

 昔は年の半分を雪に閉ざされる土地であったという―――――――
 だがいつの頃からか、雪は館が一つだけぽつりと建つ小高い丘のあたりから郷へは降りてこなくなった。その代わり、館は毎年ある時期になると雪に閉ざされ、それは春になるまで融けることがない。
 郷に降る雪をすべて引き受けたように白く沈む館は、さながら冬神への供物のようであった。
 誰が呼ぶともなく、そこは「冬神マローズの館」と言われていた。

***

 シンジは暫く呆然としていた。
 舞い降りたばかりの雪を月光が照らしたら、かくもあろうかという銀色の髪。母親が違うとは聞かされていたが、目前の夢幻的な美貌が血のつながった兄だとはにわかには信じ難かったのだ。
「・・・よろしく。シンジ君?」
 彼は微笑んで、手を差し出した。だがその時、初めてその瞼が閉ざされたままであることに気づく。
「ああ、聞かなかったかい?・・・見えないんだよ」
 シンジが息を飲んだのが分かったのだろう。苦笑して、彼はそう言った。
「あ、ごっ・・・ごめんなさい」
「どうして? こちらこそ迷惑をかけることがあると思うけど、ごめんね。カヲル、でいいよ。いきなり身内だと言われてもびっくりするよね」
「・・・カヲル、様・・・」
「緊張してるのは分かるけど、様づけはやめようよ。今日から君はこの家の人間なんだから」
「はい・・あ、うん・・・・カヲル、君・・・」
 おずおずとその名を口にするのを、彼は優しい笑みで聞いていた。
 シンジが館に連れてこられたのは、収穫祭も終わり、厳寒マローズがおとずれようかという晩秋のある日のことだった。
 たった一人の家族と思っていた母の急逝に伴い、「父親」に引き取られることになったと聞いたシンジは、違和感を禁じえなかった。
 そもそも自分に父親がいるという話自体が初耳であったし、その「父親」が「冬神の館」と呼びならわされる館の主であることを聞かされてはなおさらである。
 領主の一族で、大変な変わり者だと言う噂は、対面によって裏切られることはなかった。いかつい顔といかつい言動は、シンジに怖そうな人だという印象しか残さなかったのである。
 だが、母を失ったときとは別の意味で途方に暮れたシンジを少しだけほっとさせたのが、兄だというカヲルとの対面であった。
 自分といくらも違わないようだが、足を傷めているとかで屋内でも杖をついていた。実際、杖を離すと僅かに足を引きずるのが素人目にも分かる。シンジは、父親云々の話は嘘で、本当は自分がこの少年の身の回りを世話するために雇われたのではないかとさえ思った。
 実際にはそれは思い過ごしで、シンジには一族としての待遇が与えられたのだが。
 生活そのものの不安がなくなったことはシンジには有り難かった。しかし馴染めない生活は何分にも窮屈で、「分からないことがあったら何でも聞いて」というカヲルの言葉に甘える形で、彼の部屋に入り浸る事が多くなっていた。

 ――――――父だという人物は、そのことについて何も言わなかった。

***

 怪我の原因を尋ねる言葉が喉元まで出かかっていたが、何となく聞けなかった。館の中を動くことについては、彼は殆ど目のことも足のことも気づかせないほどに自由であった所為もある。
 一日の生活に必要な場所については、来た日かその翌日のうちに使用人に案内されたが、シンジが館に慣れるにしたがってカヲルは少しずつ他の場所にも案内してくれた。
 シンジはどこへ連れていかれてもただ感心するばかりであったが、ある場所を訪れたときは既に声すら出なかった。
 冬神マローズの祭儀所である。
 壮麗な円天井に描かれた絵画の数々、そして高窓に嵌められたステンドグラス。冬神の一般的な姿とされる優美な貴婦人の等身像は、シンジが一瞬呼吸を停めてしまうほどに心を奪われた。
 この地方では、冬を畏れ厳寒マローズまつる。それは郷でも同じことだったが、祭殿の規模はここと比較にならない。
「綺麗だろう?」
 うん、と言いかけて、シンジははっとした。
「その、見えなくなったの・・・最近なの?」
「いや。多分、生まれつきさ。僕はね、ここの空気が好きなんだ。とても澄んでいるから。・・部屋の中だけじゃ息がつまることもあるし」
「あまり・・・外へは出ないのかい?」
出してもらえない・・・・・・・・んだよ、僕は。特に、雪の降る日はね」
 少し、さみしげに笑う。
「・・・どうして? 怪我の所為・・・?」
 カヲルは何事かを言いかけたが、声にすることなく口を噤んだ。そして-偶然なのかどうか-一番高い場所にあるステンドグラスの窓の方を仰ぎ見て、言った。
「部屋に戻ろうか、シンジ君・・・」

***

 連れてこられた日に対面してから、シンジは殆ど父親に会うことがなかった。外出することもあるが、食事は別々だし殆どを書斎にこもりきりだからだ。
都では名の知られた学者なのだ、と教えてくれたのはカヲルだった。
「散歩しようよ、カヲル君」
 ある日シンジがそう誘ったのは、先日の科白を気にしてのことだった。身体のことでカヲルが行動を制限されているなら、自分がカヲルの目となり足となってあげれば外出できるのではないかと思ったのである。
 シンジの申し出に、カヲルは少なからず驚いたようではあった。どこか躊躇うふうでもあったが、シンジ厚意を無にすまいという思いからであろう、結局それを諾した。
 御館様のお帰りに間に合うようにお気をつけくださいませ、という使用人の言葉を不審には思ったものの、とりあえずカヲルを連れ出せたことにすこしばかりシンジは有頂天になっていた。
 シンジ自身、窮屈な生活に息抜きを求めていたこともあって、庭園を歩くだけのささやかな散歩に思わずはしゃいでしまう。
 少し風の強い日で、枝に残った最後の葉が風にあおられ空へ舞い上がっていた。
「大丈夫?寒くない?」
 ゆっくりと後をついて歩いてくるカヲルの所まで駆け戻り、問う。カヲルは微笑み、そんなことはないよと言った。
「何の実を拾ってきたんだい?」
「すごいな、何で分かるの!?」
 両手いっぱいの木の実を握っていたシンジは、感心したように声を高くした。
「聞こえるんだよ。君の手と、ポケットのなかで枯葉と木の実が擦れ合う音がね」
 それだけの聴覚が何ゆえに養われたかに思い至り、ふと言葉に詰まる。だが、ふと顔を上げて言った。
「この実ね、食べられるんだよ。あとで、食べられるようにして持っていってあげるね」
「ありがとう」
 シンジはいつの間にか、この柔らかい微笑を見るのが楽しみになっていたことに気がついた。
 その時。
 竜巻かと思うような強い風が、一斉に木の葉を舞い上げた。
「うわ・・・!」
 木の葉と一緒に舞い上がった砂埃に視界を妨げられ、シンジは思わず木の実を取り落としてしゃがみ込む。
 視界を奪った塵埃が見せた幻像か、雪の結晶を散りばめた白絹の袖を見た気がした。
 吹き去るのは一瞬。だが、シンジにはひどく長く感じられた。
「・・・大丈夫かい?」
 ややあって差し出された手に、シンジは風が行き過ぎたことに気づく。
「カヲル君こそ・・大丈夫なの?」
「うん、僕は平気だよ。・・・それより、館にもどろうか。・・・どうやら、とうとう冬神の来臨らしいね」
「え・・・・・」
 シンジは自分の外套を見た。融けかけた白い雪の結晶が舞い降りて、そこに止まっている。
 カヲルは、閉ざした瞼越しにはるか北の空を見ていた。

***

 その夜は、雪になった。
「積もるかな?」
「いや、積もっても夕方には融けるだろうね。根雪になるのはもう少し先だと思うよ」
 部屋に帰ってから、なぜかカヲルはシンジの方を見なかった。というよりは、ただひたすらに窓のほうばかりを見ていた。
 先刻から、あまり会話が続かない。シンジの問いに彼は答えてくれるが、そのあとに言葉が続けられないのだ。
 ここ暫くはチェロを習っていた。シンジが弾くチェロにいつもなら細かく注意をしてくれるのに、今夜ばかりは何度弾いても可も不可も与えないのだ。
「・・・カヲル君、怒ってる・・・・?」
「・・・え、どうして?」
 シンジの心細げな声に、カヲルが始めてシンジの方を見る。
「そんなことないよ。ちょっと、ぼうっとしてて・・・・ごめんね。もう一度、弾いてくれるかい?」
「ううん、やっぱり今日はもう休みなよ。きっと、冷たい風に当たったのが悪かったんだ。僕ももう休むから。また明日、教えてくれる?」
「そう・・・? じゃあ、また明日にしようか」
 楽器を片づけてシンジが振り返ったとき、カヲルは暗い窓の側に立って冷たい硝子に指を触れていた。
「・・・今夜は風が冷たいよ。そんなに窓に近寄ったら、寒くない?」
「寒いのは平気なんだ、わりとね」
 カヲルが微笑う。
「雪混じりの風の匂いが・・・何かとても懐かしいんだ。ねえシンジ君、この窓、少しだけ開けてくれないか。すぐ閉めるから」
「いいけど・・・」
 窓に近寄り、窓を閉ざしている鍵を見た。部屋の暖かさで結露した水分が、外気で冷やされて窓枠ごと凍りついている。鍵自体は簡単な掛け金だが、封でもするように紙片が張りつけてあった。
「どうにも開きそうにないよ。風も強いし、やめておいたら?」
「そう・・・・」
 ひどく落胆したような横顔に、シンジは自分がひどく残酷なことを言ってしまったような気がした。
「あの・・・・」
 僕の部屋の窓なら開くかも、と言おうとした時。部屋の扉がひどく無遠慮に開かれた。
 シンジが反射的に身を硬くする。そこにいたのは、父だった。
「外へ出たな? 冬神の眷属どもが騒いでいる」
 昼間のことだと思い至ったシンジは、慌てて割って入った。
「・・・ごっ・・・ごめんなさい、連れ出したのは僕なんです!」
 冷たい目で睨めつけられ、竦み上がる。だが、こればかりは引けなかった。

出してもらえないん・・・・・・・・だよ、僕は』

 カヲルの、そして使用人の言葉の意味を今更ながら理解した。だが館に来たばかりのシンジに、幽閉紛いの仕打ちに対して非を鳴らす勇気などあるわけはなかった。ただ、ひたすらに寛恕を請うことしか。
「・・・だから、お願いです、カヲル君を責めないで・・・」
「お前には言っておかなければならないことがある。だが、今日のところは部屋へ戻れ」
「あの・・・」
「・・・シンジ君、ごめんね・・・・・。席を、はずしてもらえるかな」
シンジのような怯えの彩はそこにはない。ただ静かに青ざめていた。
「・・・カヲル君・・・・」
「・・・ごめんね。また、明日」
 シンジは泣きそうになりながら、後ずさるようにしてその部屋を出た。

***

 ワタシノモノダ。
 いっそ残酷な程に鋭敏な耳が譫言のように繰り返される言葉を捉えても、カヲルの裡に熱が生まれてくることはなかった。身体はいざ知らず、心には。
 這い回る指が鋭敏な部分を探り当てても、執拗な舌先に無理矢理追い上げられても、息を乱しさえしたところで、何ら変わるところはない。
 開かれることのない目で凍りついた窓を探し、なぜか胸を締めつけるような雪混じりの風の匂いを追う。その耳もまたせわしない息づかいや不快な音よりも、風の音を聞いていた。
『君は誰?』
 風が行き過ぎる一瞬、カヲルの髪に触れた誰か。蹲み込んでいたシンジであろうはずはない。風に乗って彼を訪れた、優しい手と、すべらかな袖の感触は・・・錯覚なのだろうか?
 だが、錯覚でも幻影でも構わない。今はそれがただ一つの救いだから。
 この館は、カヲルにとって豪奢な牢獄でしかない。それも、心にすら自由を与えてくれない最悪の獄舎。意識を翔ばしてしまえば身体のつらさは一時のことだが、向けられる想いには呼吸が詰まる。
 ・・・いっそ憎ませてくれればいいものを。
 いつからだろう。あの優しい手が、カヲルを狂気から遠ざけてくれるようになったのは。

***

 シンジは両耳を塞ぎ、奥歯を噛み締めて一晩中震えていた。
 自分がしたことの結果が、こんなことになろうとは。
 耳を塞ぐ手を放せばカヲルの苦鳴が聞こえてくるようで、身体が骨から冷えてゆく感覚に、震えが止まらない。
 どうなってるんだ、おかしいよ・・・。そう何百回も呟いた。
 窓の外では、雪混じりの風が枝を鳴らしていた。

***

 その昔、雪神とも称せられる冬神マローズ地母神モロクであったという。冬神の眷属と言われる者たち-雪精と呼びならわされる-もまた、相応の神格を与えられていたのかもしれない。だが、別の神々が信仰を集めるようになってのちは、冬神としての限定された神格に押し込められている。
 その彼らを、人よりも長命で強靱、そして人よりも先んじた技術の数々を持っていた先住民の長とその一族と解する学者もいる。
 だが何であったにせよ、現代、彼らは冬の猛威を象徴する存在としか記憶されていない―――――。

***

「・・・何て、言われたの?」
 翌日。
 シンジがカヲルの部屋を訪れたのはもう昼を回っていたが、いくぶん憔悴した横顔を、シンジは正視できなかった。
「・・・変だよ、おかしいよ・・・こんな・・・」
 俯いたまま、肩を震わせるシンジ。
「どうして、君が泣くの?」
 カヲルの声があまりにも静かなことが、かえってシンジの胸を刺した。シンジを案じて伸べられた手。緩い袖口から覗くその手首に、どす黒い痣が残っている。
 思わずその手をとり、跪いて頬を寄せる。
「酷いよ・・・カヲル君がこの家の子じゃなくて、冬神の子だなんて・・・冬神に対する人質だなんて・・・何でこんなひどいこ・・・・っ・・・・」
 声を詰まらせたシンジの頭に優しく手を置き、カヲルは静かに言った。
「父さんは、病気なんだよ。・・・だから、責めちゃいけない」
「・・・病気・・・?」
 シンジは、目を見開いた。そうだ。あまりにも常軌を逸している。
「雪が降りだすとね、父さんは病気が悪くなるんだ。昔、大事なものを失ってしまってからみたいだけど・・・。大丈夫、雪が融けたら普通に戻るよ」
「雪が・・・雪が融けるなんて、この館の周りの雪が融けるのなんて、半年近く先じゃないか・・・! ・・・殺されちゃうよ、カヲル君・・・」
「そんなこと、あるわけないじゃないか。父さんは父さんだよ。大丈夫・・・・」
 逃げよう、という言葉は結局封じられた。カヲルがこの館からいなくなってしまえば、父の行状が外へ知れる。それを危惧していると気づいて、シンジが再び落涙した。
「・・・僕、どうしたらいい・・・・僕、何でもするから・・・」
「ありがとう・・・」
 カヲルが微笑んだ。
「じゃ、君の言葉に甘えて・・・ひとつだけ、お願いがあるんだけど」
「何?」
「今度雪が降った時に、祭儀所の一番高い窓を開けてくれる? 登り方は、そのときに僕が教えてあげるから」
 一瞬、シンジは肺腑の内側に霜が降りたような気がした。
「・・・・駄目かな?」
「う、ううん、そんなことないよ。それくらい・・・」
 それが、今朝父親から真っ先に言い渡された禁止事項であることを、カヲルが気づいているのかどうか。
 だが、今のシンジはそれを病人の妄想と片づけてしまうことができた。そうできるだけの奇行を目の当たりにしてしまったからだ。
 父親の奇行をなんとか身内で収めておこうとする兄を少しでも楽にしてあげられるなら。シンジは懸命に頷き続けた。

***

 そして、その夜が来た。
 深々と冷える祭儀所。二人以外の誰がいよう筈もない。
 今夜は吹雪になると古参の使用人達が言っていた。今度の雪が、根雪になるとも。
 冬神の祭儀所。この館で一番天井が高い場所。ここの高窓から雪が降り込めば、屋外に出られなくても降ってくる雪を感じることが出来る。
 祭壇の前に立って、カヲルははるか上を見ていた。
「・・・前から2本目の柱・・・その側に、梯子がある筈なんだ。わかるかい?」
「うん、これだね。これを昇ればいいの?」
「昇りきった所に、大きな鉤があると思う。それに、鎖が巻きついてないかい?」
 言われた通りに梯子を登り、左右を見る。確かに、鎖を巻きつけた鉤があった。
「それを、ゆっくり引っぱって。ゆっくりだよ。いきなり引っぱると、すごい音がするから。・・・気をつけて」
「大丈夫だよ。・・・開けるよ、いい?」
「・・ああ・・」
 見えないはずの窓の場所を正確に捉えているカヲルの、どこか陶然とした表情が僅かにひっかかってはいた。だが、いまさら引き返せるものでもないし、そのつもりもなかった。
 ゆっくりと、窓の開閉索を引くシンジ。いつもは殆ど開閉がないのか、かなり重い。かなり錆びているらしく、ぽろぽろと黒い粉末が零れ落ちた。
 ぎりぎりと音を立てて、高窓が開く。そこへ、一陣の雪風が吹き込んだ。
 同時に、脆い音を立てて開閉索が切れる。
あおりをくって転落しそうになり、シンジは鎖を放り出して梯子にしがみついた。
 開閉索を失った高窓が、折からの風にあおられて開いた。・・・というよりも、風圧に吹き破られたといったほうがあたっていたかも知れない。
 重いステンドグラスは開閉索のくびきを逃れ、 蝶番ちょうつがいの可動範囲を越えて翻る。さびついた蝶番がその衝撃に耐えられるわけもなかった。
「カヲル君!!」
 風の吹き込む方向を陶然と見つめているカヲルの頭上へ、ステンドグラスが落下する。シンジの声が掠れた。
 だがその時、眼前に現れたものに、シンジは自らの正気を疑った。
 吹雪の夜だというのに、満月とまがうほどの光が高窓から降り注ぎ、落下するステンドグラスを撃ち砕く。そのかけらさえ、カヲルを避けて飛散した。
 光の中で、白い翼が羽撃はばたく。
 息もできないほど吹きつける風に、シンジは梯子に必死でしがみついた。
 立ち尽くすカヲルに差し伸べられた繊い腕。絡みつくすべらかな袖は、あの風の日に見たものだった。
 白い貌を縁どる髪は、氷の蒼。雪に落とした血のような紅瞳。
 自らも腕を差し伸べるカヲルに、シンジは肺腑に残った空気を総動員して叫んだ。
「・・・・カヲル君、駄目・・・!!」
 そんな莫迦なことが。話を聞いたときは荒唐無稽な御伽話としか聞こえなかった禁戒が、いまさらシンジの頭に痛みを生ずるほどに響く。

 雪の降る夜に、その窓を開けてはいけない。

―――TO BE CONTINUED―――


Akino-ya Banka’s Room
Evangelion SS 「Snow Waltz」

「Snow Waltz」<前編>に関するAPOLOGY言い訳…..

とんでもないものを始めてしまった気がする・・・

 はい、6000Hitご報告頂きましてのリクエスト「雪とレイちゃん、氷とカヲルで、もしできればゲンカヲ」でございます。んで、前編。一応、ネタがネタだけになるべく年内、遅くとも冬じゅうの完結を目指しております(^^;

 タイトルの元ネタをご存じの方は、「ついにキレやがったか」とお思いになることでしょう。しかし、上記のリクエスト(前半)を頂いたとき、万夏の頭にはもうこれ以外のものは浮かびませんでした。大家の罵声もなんのその、とうとう踏み切ってしまった・・・(爆)(<いや別に、ゲンカヲが些末とゆーとるわけでわ(汗))

 ・・・・ただ、万夏の偏狭な美意識から外れるものは書かない・・・と思います。一応、「うちのカヲル君は外道おやぢなんぞには絶対屈服しないぞ!」は不動のスタンスですから(^^;;(<今更誰か信じてくれるのか!?)

 シチュエーション的には「遠雷」を逆転してるような格好ですが、シンジ君は今回完全に狂言回しにまわっていただきます。(<現段階ではそのつもり)シンジ君とカヲル君をそろえておきながら、カラミがなしだとぉ!?とお怒りのむきもありましょうが、何分にも万夏の書く話ですから、そこはご容赦を。(この上シンジ君にまで手ェ出されちゃあ、マジ壊れますぜ、カヲル君・・・)

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 というのが、1998,11,30 初回アップロード時の言い訳でございます。
万夏にしては珍しく、シンジ君の扱いがマトモだったお話。その分の反動が…はっはっは。結局万夏の頭ン中はこてこてのカヲレイなのですよ。

それでは皆様、次回まで万夏が正気でいたら・・・・・いや、何も申しますまい・・・・・・(^^;

2018.2.28

暁乃家 万夏 拝