砂礫のアリア Ⅲ

「…そいつ、ここに連れてくるのか」
 ある日、リヒャルトの腕…正確に言えばもう痕だけになってしまった腕の傷を見ながら、アーニィがふと訊いた。
 どこから聞いたのものか…この人の好い瓜坊はこの傷をすこし気に掛けているらしい。