砂礫のアリア Ⅰ

 悲鳴、怒号、木箱が壊される音。刀槍の音もわずかに聞こえる。まだ、誰かが抵抗しているのだろう。
 隊商を襲った賊が、積荷を劫掠しているのだ。
 しかし、自分にはどうすることもできない。崖道から滑落した時に、おそらく木の枝に挟むかどうかして捻ったのだろう。足首が不快な拍動痛を主張していた。