Le Grand Bleu

島影ひとつ見えない、夜明け前の海。調査船の甲板に鎮座するデッキクレーンのフレームに背を凭せかけて、鯨吉ときよしイサナは漫然と潮の歌を聴いていた。最低限の機関は動いている筈だが、此処に居れば水と風の音しか聞こえては来ない。この時間が好きだった。第五話、イサナSide